アメリカ国内の問題とドル①

もちろんアメリカドルも問題ないわけでなく、信用力を大きく低下させたできごとはありましたし、今後も注視しなければならないこともあります。というのも、アメリカドルは世界の基軸通貨としての地位を維持していますが、これによってアメリカ国内の都合、アメリカの政治的な判断によって、相場が大きく変化してしまったという事態が歴史上幾度となく見られたからです。

アメリカドルが基軸通貨としてみなされるようになったのは、ブレトンウッズ体制の発足によるものとされています。太平洋戦争浴後、世界の貨幣用の金の半分以上がアメリカに集中していたといわれています。戦争によってもアメリカ本土には被害が及ばなかったことで圧倒的な金の保有と経済力を維持できたことから、アメリカドルは金と一定の相場で交換できるという信用をもとに、アメリカドルを軸にした各国貨幣との為替レートが決まっていきました。このように戦後すぐにアメリカを中心とする世界経済の体制がうまれました。

1960年代、ベトナム戦争への介入などによって、アメリカの経済は停滞していました。投資先がアメリカからヨーロッパに流れ、ヨーロッパ各国もアメリカドルを金に交換する動きが見られたため、アメリカでは深刻な金の不足がおこりました。当時、アメリカドルは金と一定のレートで交換できるという信用のもとにアメリカドルを基軸通貨としたブレトンウッズ体制を敷いていたので、金不足によってアメリカ国内は危機を迎えました。1970年代になり、なし崩し的に金とアメリカドルの交換を停止し、変動相場制に移行していきますが、この時の大幅なドル安の影響で、アメリカ産業は優位となる一方、日本やヨーロッパ諸国の景気には悪影響となりました。